CL寺口 一孝
昨日も暑かったし、予報では町の気温が30度との事、その予報に山頂風速10㍍と有り、ひょっとしたらしのげるかと思って4時にホテルを出ると風が有る、
皆口々に涼しい、と言っていた。
定時より早くバスに乗り込みスタートだF隊が一番早かった。
バスの運航は思ったより良い。バスの中で羊蹄山の説明や、注意等をして登山口に到着、京極山荘に一泊のスタッフ6人の出迎え。
思った通り一般登山者の車が20台、間もなく陸上自衛隊もジープとトラックで到着だ。
用意し各自トイレタイム、終わった人たちが集まってSLの渡辺さんに体操をして貰い10分後には歩き出せた。
流石に一般登山者では無く山岳会所属の面々、時間の大切さは分かっている。なるべくピッチを狂わせない様に、そして休み時間を多く取らない様に登る。
4合目付近で電話が有り参加人数が増えたために追加のサポーターとして参加の横山さんが一人リタイア者と下山との事。やむを得ない。
8合目までは縦一列、7~8人の間に駒込サブリーダー、長沼、佐々木、岡崎のサポートが入って順調だ。ここから遮るものの無い岩場のトラバース、少しずつ隊
列が長くなる。それでもお花畑の花々に癒され、元気を貰って真狩の山頂に計画より20分遅れで42人全員登頂だ。
これからも難行が続くので全員の記念写真はここしかないと集合写真を撮る。ここで4人待機、昼食後にゆっくり下山すると言うのでサブリーダーの渡邊さん
に預ける。ここも立派な山頂だ。
外輪の向こう側に最高点が見える、沢山の登山者も見える。全日大会の人達だろうか。
15分休憩後更に進むと横に比羅夫から京極に下山の組が現れた。荒堀グループだ。挨拶をして岩場を先に行く。
途中入った電話に出て遅れる事10分か、最高点に着いたら皆三々五々散らばって昼食だ。予報では風速10㍍と言うが微風だ、時々帽子を押さえるが
さほどではない、だから暑い。
12:20を下山の時間として全員に周知、私も写真に納まりたいので再び集めて写真を撮り下山。予定時間通りだ。
京極口に来るとスイーパーも一緒に降りると言う、一番最後に太もも痙攣の人にサブリーダーの駒込さんと付いてもらう。
外輪を回っていると自衛隊の若者がいかにも暑いと見える迷彩色服を着てゾロゾロ登って来る。話をすると医療班の登山訓練と言う。そう言えば登ってい
る時斥候役の女性隊員二人が各合目、合目で休み我々の前後を歩いていた。
自衛隊の後ろから縦走の二番隊吉田隊が登って来た、このチームは少し時間が掛かっている様だが後は降りるだけだ。
真狩の山頂に41分で戻る、軽い登り返しも疲労の蓄積が有って皆辛そうだ。ここまで来ると後はひたすら降りるだけ。空は青く、ベラボーに暑い。
途中も何度か人数点検、ここでも点検したが1名少ない。私も熱中症だ。
それぞれの山岳会にメンバーの有無を聞くと全員いると言う。さっさと下山に掛かる。暑さは最高潮だ、私の太もももピクピクやり出した。
皆と大きく離れない様にゆっくり下山する。
8合目、7合目、6合目と自衛隊員がゾロゾロ降りて来る。渡邊サブリーダーからの電話で4合目で二人単独下山するが良いか、との電話、渡邊さんは熱中症
の一人と4合目でしばし休むと言う。途中で会った自衛隊員に『4合目に要救助者が居る、頼む』と冗談を言いながら我々も辛い身体に鞭打って降りる。
頑張って4合目に来ると自衛隊員が日影を捜して休んでいた。渡邊さんと要救助者はゆっくりゆっくり降りた様だ。歩けて良かった。
ここで全員集まるのを待って20分かけて最後の人数チェック、ようやく人数が揃った。下の辛そうにしている自衛隊員がようやく動き出した。
ここからノンストップだ。後一時間頑張れと励まして下る。
2合目、1合目と自衛隊員が私の直ぐ前、隊長か責任者か私に先に行ってくれと言う、日本の国を守る自衛隊員よ大丈夫か、と思ったが良く聞くと若い
隊員が捻挫したと言う。手当てしようか?と問いかけたら『皆衛生兵です』との答え。若い医師の卵達の登山訓練だった。
結局自衛隊員と前後して5時20分にようやくバスに到着した。
登山口に登別の澤田さん達役員が待機、我々の真狩チームが一番遅い下山となった。
でも役員の手に手に持った500ccの冷たい水を貰い参加者感激だ。
天気の長期予報、一週間予報でも大会時の天気は快晴の高温注意報、気持ちは皆を最高点に上げたいと何日も悩んだ、夜中に眠れなくて目覚め
パソコンに向かった事も有ったがようやく終わった。上に下に、前後に色々有ったが完了しスタッフ他に深謝だ。
前日・当日・最終日と独楽鼠の様に走りまくって頑張ってくれたりんゆう観光の橋本竜平君にも大変世話になった、感謝の言葉しか無い。
それにしてもあの宴会のビール・お酒の美味かった事。
参加者メッセージ
Fコース 羊蹄山-真狩往復
京都府山岳連盟 加藤一子
全日本登山大会に初めて参加させて頂きました。
天候にも恵まれ、花々の一番美しい時期に頂上を極めることが出来、大変幸せでした。
往きのバスから見えた羊蹄山の美しい姿にまず感動、登り始めると眼下に真狩村の畑がパッチワークの様に見え、そして模様がだんだん小さくなって
高度が上がって行くのが嬉しい。
ウコンウツギ、カラマツソウ、シラネアオイ、イワブクロ、ハクサンチドリ、等々の花も沢山咲いていて、お釜巡りはキバナシャクナゲの群生とお花三昧。
頂上では慌ただしくもっと景色をゆっくり見ていたかったと少々心残りです。
準備から当日の運営、安全登山の為の心配り等、本当にありがとうございました。
FコースのCL「寺さん」こと寺口様を始め、室蘭山岳連盟並びに北海道山岳連盟の皆様に感謝すると共に素晴らしい組織力に感銘致しました。
今回、予定行動時間10時間30分の行程を40人ものパーティーで共に行動することの大変さを目の当たりにしました。
熱中症等のアクシデント、トイレ、飲料水不足の問題、下山遅れに対する対処。どれもとても誠実に一生懸命動いて下さいました。
大人数パーティーでの行動、休憩時間、長時間行動時の昼食時間なども含めて、私共にとっての来年の課題でもあります。そして、もっと広い世代間
の交流の場に出来れば大会の発展にも繋がると思いました。
最後になりましたが、Fコースメンバー全員に頂上を踏ませてくれようと頑張って下さっていたCL「寺さん」の姿が印象的でした。
「羊蹄山」真狩コースに参加して
愛媛山岳連盟 山口章一
この度、第56回「全日本登山大会・北海道大会」に参加させていただきました。私の登山コースは「真狩コース(F)」。当日は酷暑の条件下、しかしお世
話をされた皆様方の慎重なペース配分により若干の遅れはあったものの、大きなトラブルもなく大方の皆様が登山口まで頑張り通せたことは、関係者の
ご尽力のたまものと厚く感謝申し上げます。
朝4:30宿舎出発。登山口までのバスの中、われわれのコース隊長:寺口一孝氏より諸々訓話をいただく。この方マルチタレントとして地元でも名が通っ
ているのではと思えるほど話題が豊富。アイヌ語の話、熊の話。昨今の熊にはもうストックしか武器はないとか。また今日の羊蹄山の頂上の気温は標高
と風速予想から計算して8℃、充分服装に気をつけてとしていたが、弘法も筆のあやまりか暑くて暑くて皆水不足に悩む結果となってしまった。
バスは1時間ほどで登山口に到着、準備を整え6時過ぎ出発。なんと頂上到達がほぼ12時だから、登り所要時間が6時間。これは大会当局の示す限界
時間スレスレとなってしまった。
何といっても暑さの要因が一番大きいと考えられるが、事前に示された往復の行程所要時間10時間30分と知って、ある程度足に自信のある方々の集
まりと私は考えていた。しかし、一方で多少の不安を気にしながらも、北海道の山には何としても登りたいという思いの強い人もいたのではないだろうか。
それもいつもの気象条件ならば問題なかったことも、この度は及ばなかったという人がいたようだ。その結果40人もの隊列は、そこかしこで個々のロスに
より全体が遅れる結果となってしまった。
登山口から四合目までぐらいは道もなだらかで、エゾマツやトドマツの中にすらりと伸びたダケカンバが美しく、エゾハルゼミだろうか蝉の声も心地よい
風と共に流れてきて、皆この辺までは元気だった。
五、六合目あたりにさしかかると傾斜もきつくなり、後先をゆく群馬県の方、先の「栗駒山」でお世話になった宮城県塩釜の方たちにも疲労者がぼつぼ
つ、わが愛媛隊にも足取りの遅い人が出始めた。その後、まわりも低灌木に変わり、陽もだいぶ高くなって直射日光が気になりだしたが、ときどき木々
の間から下界の平地や樹林帯などの眺めが見渡せ、ときおり吹く冷たい一陣の風が心地よく元気の源となった。
八、九合目あたりになると一層傾斜はきつくなり、日光の照りつけも厳しくなってきたが、それも所々に咲く花たちが慰めてくれた。ウコンウツギ、ナナカ
マド、キバナシャクナゲ、エゾノツガザクラなど、シャッターを押すことで何とか疲労感をごまかすことができた。
九合目の避難小屋付近には雪渓が残っていて、ハイ松とのコントラストは見事であった。間もなくガレた道を登ると、火山火口の縁に到着。ここで11時
を過ぎていたが役員の方から頂上まで頑張ろうという号令がかかり、急ぎ頂上に向かう。
道々にはシナノキンバイだろうか小さな黄色の花の群生が美しかった。1時間足らずで頂上に到着。晴れあがり遠くは少し霞んでいたが、360度をほしい
ままにしていた。
下山にかかったが思うようにスピードは上がらず、今夜の閉会式を30分遅らすと伝わってきたのが、確かあと700mを残す五合目付近だと思う。
皆一様に疲れと水不足の表情が見られた。私も長い登山歴のなかでこれほどの水不足を経験したことは初めてで、恥ずかしながら友人に分けてもらう
始末になった。登山口に着いて、水道の蛇口に口を当て飲んだ水の冷たく美味しかったこと、忘れられない。それもそのはず、ここは名たる名水百選の
一つだと知って、二重のうまさが腹にしみたことでした。
私自身反省したのは、真夏の低山の歩行距離と水の必要量についての認識だと知った次第です。
それにしても、北海道の皆様方にはいろいろお気を遣っていただき、楽しい思い出とまた反省とをいただきました。大変なご苦労に感謝申し上げますと
ともに、とかく団塊の世代が老人組に入った途端、世の中の老人批判の声が高くなってきているように思われます。いろいろの問題はそれぞれで解決策
を講ずるとしても、せめて「全国登山大会」が元気のいい老人たちの遊びの場、交流の場(受け皿)の一つとして、今後ますます発展していって下さるよう
切に願うところです。
本当にいろいろありがとうございました。
関係者の皆様方すべてに心より感謝申し上げます。