E-1 CL 荒堀 英雄
登山日7月7日早朝、ホテルにて朝食及び昼食弁当を貰いバスに乗り出発。
羊蹄山はアイヌ語で『マッカリ(三角)ヌプリ(山)』と言い、バスの中から見た綺麗な三角形はその象徴的な姿であった。
生活の中で命名した『マッカリ・ヌプリ』、アイヌ語の優しい響きが感じられる。
登山口近くになって、バスの運転手さんから『立木の枝が伸びて登山口までバスは入れない』と告げられ、比羅夫登山口手前の半月湖キャンプ場に降
ろされる。全く聞かされておらず想定外の事態に驚いた。予定より30分遅れての登山開始となり全員が無事山頂に到達できるか不安にかられた。
反面、登山口に比べキャンプ場の方がトイレ等の設備が整っていたので、参加者の皆様には、登山口への歩きも『ウォーミングアップだ!』と納得して
いただけた模様。
登山口では5人のスタッフが『まだかまだか』と首を長くして待っていたようだ。
早速身支度を整え準備体操。30分の遅れを少しでも取り戻そうと40人を2班に分けて出発、A班が休憩の時はB班が追い越し、B班が休憩の時はA班
が追い越すと言うように『尺取虫方式』で効率よく登ったのが良かったようで、2名のリタイア者が出たのは残念であったが、ほぼ予定時間に山頂に到着
することができた。
羊蹄山は、登り始めたら登りばかり、下り始めたら下りばかり、を強いられる過酷な山なので負担が大きかったと思われる。
また樹林帯から登り始めるため眺望は無く、途中途中の木々の切れ目から倶知安の街並みや碁盤の目の畑、ニセコアンヌプリ、ワイスホルンが眺めら
れ、登山道にはゴゼンタチバナ、マイヅルソウ、シラネアオイなどが咲き清涼の一服となった。
9合目から登りが緩やかとなり、イワベンケイ、ミヤマキンバイ、イワブクロ等の高山植物、更に雪渓の融けたあとには、キバナシャクナゲ、ミヤマオダマ
キ、エゾノツガザクラ、コメバツガザクラなどが今が盛りと咲き乱れていた。
展望全開の外輪山歩きは、眼下に父釜・母釜・子釜の噴火口、足元にはメアカンキンバイ、チシマキンレイカなど高山植物が見られ、まさに夏山本番「天
空の楽園」といったところである。
この日は天気が良く気温が上昇したせいで、"カスミ"がかかり、遠くは洞爺湖や有珠山などの景色は見られなかったのが残念であった。
山頂付近での暫しの休憩と記念写真撮影のあと京極口へ向けて下山。
降り口は傾斜がきつく滑って尻もちをつく人の「キャー!」という奇声に驚かされる。
下山道では、オトギリソウ、ヨツバシオガマなどが見られた。
山頂付近は20度程度で快適であったが、下りるに従って暑さが増し汗が滲み出る。
参加者の多くは西日本~九州地方の方々で暑さに慣れているようだったが、北海道育ちのスタッフは暑さに閉口したようである。
下山後は、京極町の「道の駅」に休憩、「京極の名水」をペットボトルに採取し、一路定山渓ビューホテルへ向かう。
「閉会式、交歓会」を1時間遅らせるとの連絡が入り余裕の帰路となった。
バスの中では「アイヌ語・アイヌ語地名」の説明などで時間を費やしたが、睡魔に襲われていた方々には「甚だ迷惑だったかも知れない」と反省している。
参加者メッセージ
E-1羊蹄山山行に参加して
宮崎県都城山岳会 田原祐子
今回の第56回全日本登山大会の参加は、宮崎県の都城山岳会は今年で設立60周年を迎え、その記念事業の一環として、「都城山岳会(MAC)60周
年記念in北海道」という旗のもとに11名で参加しました。大会で日本百名山の羊蹄山を登った後、ニセコアンヌプリ、大雪山連峰南部の上富良野岳から
十勝岳の縦走、積丹岳の6泊7日の遠征計画でした。
7月6日に宮崎空港から北海道を目指して出発し、定山渓ホテルに到着後荷物を部屋に入れるとすぐに開会式に出席しました。当山岳会も北海道は
大雪山系などへの登山はありましたが、蝦夷富士といわれる羊蹄山への登山、参加者一同初めてで期待一杯で臨んだ登山でした。
当日、さわやかな朝のバスの中から、円錐形の凛とした羊蹄山の山容を眺めながら登山口に到着し、北海道山岳連盟の支援の方々の丁寧な対応を
受けて、私達11名(1名は別ルート)は他のメンバーと一緒に登山を開始しました。急登続きの登山はさすがに厳しかったですが、幸いに木陰の中を自然
のマイナスイオンを浴びながらの登山でした。9合目までは息も上がり疲労感も強かったのですが、9合目につくと一面にお花畑が現れ、美しい可憐な花
に出会うたびに歓声を上げ、今までの疲労も吹っ飛びあっという問に頂上に着いた感じでした。
下山は、登りよりも急な下山道で所々滑りやすい場所を、時々一人又一人と尻餅をつく場面がありました。私遠は4時間にわたる下山を「尻餅確認」
ビ-ル1杯おごり!」とユーモアを楽しみながら下山しました。下山は、一合目毎に休憩を入れるという大会側の対応に、長時間の下山を安全に進められ
た意図を感じながら下山しました。
最後に、私達は主催側の素晴らしい組織的運営と担当者の役割遂行のもとに、北海道の山を楽しく安全に登れる機会を頂いた上に盛大な歓迎をして
頂き、大変思い出深い山行になりました。北海道山岳連盟の皆様に深く感謝しお礼を申し上げます。